今回は、シザーケースというハサミを収納する革のケースの修理と色直しを行いました。
以下が依頼時のシザーケースを、ある程度ばらした状態の画像です。
改めてみると、職人さんが一生懸命お仕事で使われてきたというのがわかります。
また、濡れた端っこの色と中心の色の差も大きく、革の使用感としての良さを超えて、傷みのように見えてしまう状態でした。
これはこれで、仕事をされる方の情熱も伝わってくるので、絶対ダメとは思いませんが、全体を調整してあげるという事で、また新しく命を吹き込んであげるというのもアリだと思います。
細かく見ていくと、金属のホック部分（ボタン部分）が何度も付けたり外したりをする事で、弱くなって壊れてしまっているのがわかります。
金属に腐食の傾向が見えるのもそれだけ、大事に使われてきたんだろうなという事も同時にわかります。
この腰にとめる部分の金属も使えない状態でした。
養生して、皮の色直しを行い、
代わりの金具などの取り付け、ホックも取り換え作業を行いました。
ちょっと照明の兼ね合いで赤身が強く出ていますが、実際はそうでもなく、綺麗に自然に仕上がっています。
壊れてしまっていた、ホック部分も、取り換える事でまた、長く使える状態になりました。
今回は、取り急ぎ壊れてしまった箇所のみの交換を行っています。
腰で止める金具も、代用品にはなりますが、使用するには問題な金具です。
一応代用品になるという事もあらかじめ確認して交換を行っています。
今回はお仕事として使用されているシザーケースの色直しと、ホックなどの金属パーツの交換の修理でした。
毎回感じる事ですが、革の洗濯屋さんへご依頼頂ける物が、本当に大事に長く使われてきていたんだなぁと思う物ばかりで、製品への愛を感じます。
これからも、ご依頼者様の修理依頼という愛情を、職人としてプロの技術でお返しできればという想いと、今以上に技術を上げていかなければならないなと思います。
今回もご依頼ありがとうございました。
