Before:長年の使用で劣化が進んだ、大切な一品
今回お預かりしたのは、カルティエ製のボルドーカラーのレザー財布。お客様が約30年間、大切に使い続けてこられた思い出深い逸品です。
革の質感や風合いには、年月を重ねた分だけの深みがありましたが、それと同時に、中央の折り目部分には深い割れが生じ、芯材が見えてしまうほど劣化が進んでいました。
とくに折り曲がる部分は、毎日の開閉動作によって大きな負荷がかかるため、ひび割れや色褪せが集中してしまいます。

革の洗濯屋さん
四隅にも擦れやめくれが見られ、使用感が目立つ状態でした。
それでも、素材自体がしっかりしていることから「まだまだ使いたい」というお客様のご要望に応えるべく、リペアをスタートしました。
After:何度もパテを重ね、艶と美しさを取り戻しました!
今回の修復では、特に難所となった中央の折り目部分に重点を置きました。
すでに切れかけていたラインを補強し、パテを何度も丁寧に重ねて形成。
その上から、革の風合いを損なわないように着色・コーティングを施し、滑らかさと艶感を回復させました。

革の洗濯屋さん
折り曲がる箇所は、ただ補修するだけではすぐに再び割れてしまうため、柔軟性と耐久性を両立させるような技術を用い、繊細に仕上げています。
仕上がり後は、角の補色や全体の艶出しも行い、再び堂々と使っていただける美しい状態に。
職人よりひとこと
今回の修復は、長年使い込まれた革製品の“再生”というテーマにふさわしい仕事でした。
思い出が詰まったアイテムを再びお使いいただけるようになったことが、何より嬉しく思います。

革の洗濯屋さん
特に、繰り返し折れ曲がる部分の補修には時間と手間をかけ、素材に寄り添った丁寧な作業を重ねました。
「捨てるには惜しい」「もう一度使いたい」という革製品がありましたら、ぜひ一度ご相談ください。