今回のご依頼は、ヴィトンのショルダーバッグについてです。
内側ポケットの素材が劣化してベトベトになって使用できない状態になっていました。
それを今回は、一度バラしたり、色直しなどを行って再度使える様にしました。
ベタベタしているんですが、この画像だとちょっとわかりにくいかな・・・
見た目にも良くないので、これも含めてキレイにしていきます。
キレイにするとはいえ、このままでは、掃除も、修正も何もできないので、作業しやすい様に、縫い目を一つ一つ紐解いて、この様に革パーツをバラバラにします。
バラバラにすると、左下の黒い部分がベタつきそうな感じが少しはわかると思います。
とにかく綺麗にしながら、研磨して表面をならして、同じ色に色直ししていきます。
まずはベタついているなにかを除去するために、軽く専用の研磨ペーパーなどで軽くこすります。
それによりベタつきは消えました。
それによって最初よりは、ベタベタは無くなりました。
とは言え、見た目は良くないのでここから新品?と思うくらい綺麗さにもっていきます。
さらに汚れを除去して表面をならした事でここまで綺麗になってきました。
色を塗り直す事で、かなりきれいな状態に戻りました。
組み合わせたあとに、こうして広げて触ってみても、ベタつきはありません。
またキレイに色もかけ直したので、新品みたいな風合いになりました。
今回くらいの症状の場合は、各パーツ4枚に革を張替えたほうが作業も進みましたが、バッグのデザインも変わるのでこの方法を取らせていただきました。
これで、またしばらく使い続けることができます。
今回のような感じで異物が付着していたりする場合は、除去しただけではその跡が残ることがほとんどなのですが、除去する際に、革の特徴や、素材、どのように修理するのかを知っておかないと、革を痛めてしまうという事も有りえます。
程よい感じで、自然に色直しをするというのは、ただ上から塗りつぶせばいいということではなく、その前の処理段階からの作業がとても大事なんです。
毎回同じことを言っている気がしますが、ご依頼者の想いをしっかり反映させる為にいろんな知識や技術や経験が存在します。
今回の色直しという手法をとったのも、前述している通り、依頼者様のこのヴィトンのショルダーバッグへの想いを優先しての事です。
革の洗濯屋さんでは、今後もお客様のお心に寄り添えるような、そんな意識でこのお仕事を続けていければいいなと思っています。