今回は、キャメルの革のバッグについてしまった、アルコール洗浄液の染みに対してのリペアです。内容としては、洗浄と色直しというリペアです。
思っていた以上のなかなかの作業量でした。
(なんかいつもこう言っているような・・・)
まずはこちらを御覧ください。
誤ってアルコール洗浄液をこぼしてしまったことでこのように、目立つ染みとなっていました。
これは、さすがに持ち歩くには勇気がいるレベルの染みです。
ただ、バッグそのものはそれなりに使い込まれてあるとはいえ、いい感じの風合いや質感が出てきて大事に使われてきてあるのを見ると、それだけでもバックに対する愛着みたいなのを感じれます。
地味に心が癒やされるポイントでもあります。
底面から見ても、ものすごく色が変わってしまっています。
おそらくアルコール洗浄液をこぼしてしまったすぐは、ものすごく落ち込むというかショックだったのではないかと思います。
私も同じ様なことになったら、テンション下がってしまいます。
ということで、まずは、元の風合いというか、使い込まれた味みたいなものを残しつつ出来る限り、洗浄してみました。
ゴシゴシやればいいという事ではなかったりします。
なので、目立ちにくい箇所から、どういう溶剤や洗浄液を使ったりすれば一番キレイになるかを、ちょっとずつ試して、
一番問題が無い結果がでた方法で全体的に洗浄していきます。
うまく行った方法でも、力加減などを間違うと、余計な染みを作ってしまう可能性もあるので、とにかく慎重に行いました。
以下の画像では、元の画像よりもかなりきれいになったのがわかります。
とは言え、これ以上は革を痛めてしまいそうでしたので、ここから全体の色直しをして、染みをなくしていきます。
そして、出来上がった状態がこちら
ちょっとピンぼけしてしまってますが、全体的にきれいになりました。
濃い染みを消すのにかなりの時間がかかりました。
染料と顔料を上手く使いながら、出来る限り元の風合いを残しつつ・・・
このあたりをどこまで、元の色調に近づけるのかというところに、私達職人は意識したりします。
どうしても、色直しする場合は、色を足していくという事になるので、色調はやや濃い感じになってしまいます。
逆に言えば、このくらいの色にしないと、洗浄したとは言え、染みの色調が強かったという事でもあります。
また、この様に若干の色調が変わる事も事前に伝えています。
底の部分ですが、かなりきれいになりました。
ほぼ新品に近い感じまでになりました。
こういった革のバッグは、本当にちゃんとメンテナンスしてあげると、数年はきれいな状態を維持できたりします。
ビフォーアフターをスライドして見れます。
今回、アルコール洗浄液をこぼされたというのは、瞬間的にはマイナスで、私へのリペア依頼ということで、費用もかかってしまったというのは、あるかもしれません。
ですが、これも一つのメンテナンスとして見ていただければ、このキャメルの革のバッグの寿命が伸びたとも言えます。
今回のご依頼では、出来る範囲でメンテナンスも行っています。
キャメルの革のバッグのリペアのご依頼ありがとうございました。
また、長く使って頂けると嬉しく思います。